【開催レポ】福岡県主催アンコンシャス・バイアスセミナー~多様性時代の情報発信とは~/第1部「メディアとジェンダー~なぜCMは炎上するのか~」(2021/02/22)
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- 2021.03.02 / 17:32 PM
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白河桃子氏を迎え「アンコンシャス・バイアス」を学ぶ
レポート:サイズラーニング 専任コンサルタント 黒木怜香
「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)※」という言葉を耳にしたことがありますか?
急速な時代の変化への対応、人権尊重や多様性理解を深める”鍵”として、特に2010年以降に注目が集まっているバズワードです。
※「アンコンシャス・バイアス」とは無意識の思い込み・偏見のこと。私たちの仕事や日常生活での様々な判断や意思決定に大きな影響をもたらしています。(詳しい解説は福岡県特設サイトでご覧ください)日本でも、近年はメディアや広告、SNSの炎上騒動と関連して、リスク管理の点からも「アンコンシャス・バイアス」にアンテナを向ける必要性がある、との認識も広まり始めています。
今回は、福岡県主催で「アンコンシャス・バイアスセミナー~多様性時代の情報発信とは~」と題し、有識者による基調講演とワークショップの2部構成で「アンコンシャス・バイアス」を学びました。 福岡県内のメディアや広告関係者、広告主・クライアントともなる福岡県内企業のダイバーシティ推進担当者等も多数参加しました。
第1部・基調講演のゲストスピーカーには、相模女子大学大学院特任教授、昭和女子大学客員教授、少子化ジャーナリストの白河桃子さんをお迎えしました。
ジャーナリストとして活躍する傍ら、近年では内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員等も務める白河さん。働き方改革、女性活躍推進、ジェンダー平等など多岐にわたる視点から「アンコンシャス・バイアス」の問題をとらえ、「メディアとジェンダー~なぜCMは炎上するのか~」と題してご講演いただきました。
森氏発言はジェンダー平等意識の「リトマス試験紙」
白河さんのトークは、タイムリーな森氏発言からスタート。白河さんは森氏発言を捉えてこう指摘します。
白河氏「森氏のあの発言は、ある種のリトマス試験紙でした。論点は様々でしたが、今回は単なる失言騒動にとどまらず、女性蔑視発言である、との見方が男性からも挙がりました。この『男性からのイエローカード』の提示が非常に重要です。」そのうえで、白河さんから以下の問題提起が行われました。
白河氏「例えば、こんな場合、あなたならどうしますか?『女性が少数の会議の席で上司の男性が、冗談として女性に対して決めつけを行い、揶揄する発言をした。笑い声も起こった。その時あなたはどうしますか?』」皆さんだったら、どうすると思いますか?ぜひ考えてみてください。
差別的な発言を指摘できない「構造」に目を向ける
上記の問題提起をふまえ、白河さんは日本のジェンダー格差が大きい原因の一つに、社会構造上の問題があると指摘。
白河氏「意思決定の場に多様性があるか?と言われれば、日本は国会議員も経済界も、そうではありません。この、意思決定層の同質性が高いという構造上の問題が、グループシンク(集団浅慮)を引き起こして見落としを生み、女 性蔑視発言の容認やCM炎上など様々な問題を引き起こしています。」グループシンクとは、集団になると個人の総和よりもレベルの低い意思決定をしてしまう現象で、特に社会心理学の分野で研究が進められています。組織内の同質性の高さがグループシンクを生み、偏った意思決定を助長する、というメカニズムこそに目を向け、「では、構造を変えていくにはどうすればいいか?」を検討すべきだと白河さんは指摘します。
ジェンダー平等はすべての人が変わること
白河さんからは「アンコンシャス・バイアス」のなかでも特に「有害なステレオタイプ」についても言及いただきました。
白河氏「ステレオタイプに『偏見』という名の感情が結び付き、差別行動が生まれます。いわゆる『男性/女性らしさ』という有害なステレオタイプは、男女ともに生きづらさや辛い状況を引き起こします。誰もが自分らしく生きるためには有害なステレオタイプをなくすこと。男女ともにアンコンシャス・バイアスを知り、気づくことから、行動が変わるはずです。ジェンダー平等は、女性だけが変わるのを求めるのではなく、男性も、周りのすべての人も一緒に変わることで実現します。」「アンコンシャス・バイアス」だけでなく、社会構造に目を向けること。男性も女性も、すべての人がバイアスを知り、一緒に変わっていこうというメッセージをいただきました。
白河さん、豊富な事例解説と、実に多様な視点からの「アンコンシャス・バイアス」への学びと気づきを、本当にありがとうございました!
福岡県では、県内のメディアや広告関係者、企業と協力して「アンコンシャス・バイアス」への理解を深め、ジェンダー平等の視点からの情報発信を広めてジェンダーギャップ解消を目指す、という「メディア・アクション推進事業」という取り組みを行っています。
本セミナーは取り組みの一環として企画開催された2回目のセミナーです。1回目は、主にメディア関係者向けに「アンコンシャス・バイアス勉強会」を行いました(開催レポはこちら)。